
小中学生を対象にした職業体験「お仕事発見隊」を運営する「飛騨高山フューチャープロジェクト」、子ども食堂や学習支援などを行う「こども広場ロータスランド」、中高校生・大学生・社会人を対象とした会社見学やインターンシップを運営する「ユーターンシップ」、大学の専門的知見を活かした講座やワークショップを開催する「地域ラボ・高山」、ここに、地域で地域を育む新しいチーム〈H i d a L o o p 〉が発足した。これまではそれぞれの団体が行なってきた企画には多くの人が参加してきたが、参加者目線に立った時、「子供たちのライフステージに合わせてイベントが一元化されている方が良いのでは?」と思い至ったのがチーム構想のきっかけだったという。
小学生のときの将来の夢、中学・高校・大学での進路選択、そして就職活動。自分の人生を思い描くときに参考にできる経験は多くても困らない。自分の人生を主体的に考えられるようになって初めて見えてくる世界は山ほどあるのだ。「AIが普及するいまだからからこそ、未来を担う子供たちには、〝人〞としての価値を高めていって欲しい。経験を積んで感性を育んでいってほしいんです」。飛騨の子供たちは進学や就職で大半が一度は地元である飛騨を離れてしまう。「けれど、遠方にいながら地域に関わる方法だってあるはずです」。「あの人にまた会いたい」「あのイベントに参加したい」と、節目節目で思い出し、帰省したいと思える地域であり続けたい。その思いが活動の原動力になっている。

〈Hida Loop〉では、各々の取り組みに加え、相互連携による新たなアイデアに挑戦し地域をサポートする予定。さらに2025年3月には、〈Hida Loop〉初のトークイベントの開催が決定。「地域の未来を考える」と題するこのイベントには、加盟する4団体の他に、ゲストとして上智大学2 年生で〈NAMIMATI〉(SDGsに関わる活動をするZ世代のプラットフォーム。200名以上のメンバーが活動)のメンバーである佐々木菜帆さんも登壇する。一つひとつの取り組みが自律性を維持しながら、緩やかにつながる「L o o pする」ことで未来の地域を育む一助になればと願う。職業を体験した小中学生が、会社を見学した高校生が、インターンシップを受講した大学生が、ワークショップに参加した大人が、カレーライスを食べた子供たちが。一人ひとりが緩やかなつながりを経て、新たなL o o pをつくっていく。それらが地域にとって重要な仕組みとなっている今、行政や学校など様々な枠組みを超えて連携できる未来もそう遠くないだろう。