
上野動物園を未知の惑星としてビジュアル化した「UENO PLANET」や国立科学博物館の移動展示キット「WHO ARE WE」など、ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを実験的なアプローチによって続けているデザイナー〈株式会社日本デザインセンター 三澤デザイン研究室〉三澤遥氏が、〈飛驒産業株式会社(以下、飛驒産業)〉と共同開発した新作椅子「HIHI」と「DADA」がリリースされた。
昨年11月に〈+81 Gallery Tokyo〉で展覧会を開催、2月28日より公式オンラインストアにて受注開始した。直営店HIDAをはじめとする実店舗での販売も順次スタートする予定だ。そして今春、この椅子が生まれた土地である飛騨でも「Haruka Misawa Exhibition『HIHI DADA in HIDA』」が〈遊朴館 HIDA GALLERY〉にて開催される。
〈飛驒産業〉が三澤氏に国産材を使用した椅子のデザインを依頼したのは2022年2月のこと。そこから自社工場や創業時にブナを伐採していた森を見学し、広葉樹の森づくりや持続可能な森林経営を実践する現場や製材所を訪ね歩くなど、〈飛驒産業〉が目指す地域に根ざした家具づくりを体感してもらった。開発のプロセスに入るとさまざまなアイディアが出されたが、最終的に小径木が多い飛騨の木の特性を活かして、引抜きの手法で切り出された短い材をつないだデザインを採用。木製家具をはじめて手がける三澤氏ならではの木工の既成概念をこえたユーモアを含みつつ、1mm単位で計算されたバランスが共存するプロダクトが完成した。
アームチェア「HIHI」とシングルアームチェア「DADA」は、三澤氏曰く「似ているところもあるけれど似ていないところもある兄弟のような一対の椅子です」。展示初日には三澤氏を招き、〈飛驒産業〉開発担当者とのトークセッション『HIHI DADAがうまれるまで』も〈飛騨高山まちの博物館〉にて開催される。来場者にはビジュアルブックの配布もあるらしく、当日は両会場をはしごして訪れたい。
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岐阜県飛騨高山まちの博物館 岐阜県高山市上一之町75(Google map)